楽しむ電子遊戯（９）

PIC16F84電子遊戯（９）
最終更新日：２００１年１月２７日
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温度計を作ろう
９９分タイマーが無事に出来たところで、今回から温度計の製作に取り掛かりましょう。まずは回路図を見て下さい。

（温度計回路図）
まずは回路のポイントを説明します。数字を表示する７セグメントＬＥＤは前回と同様にデコーダ・ドライバＩＣ（74HC4511）で駆動します。少ないポートで簡単に制御出来るので大変便利です。今回は温度を計測します。Ａ/Ｄ付きのＰＩＣを使えば簡単に出来るとは思いますが、ここのＨＰはあくまでPIC16F84を使うことを目的としていますので、あえてＡ/Ｄコンバータを使用します。今回は手持ちのAD7820を使いました。温度センサーにはLM35DZを使います。温度に比例した電圧が出力されるので大変便利です。温度センサーの出力電圧はＡ/Ｄ入力には少し低いので、オペアンプで増幅します。オペアンプには単電源のuPC358を使います。Ａ/Ｄコンバータの基準電圧には５ＶレギュレータのS81350AGを使いました。では順次詳細に説明しましょう。
温度計の温度センサー
温度センサーにはナショナルセミコンダクタ社製のLM35DZを使用します。
（LM35DZ）
このセンサーは電圧を与えると温度に比例した電圧が出力されます。測定温度範囲は０℃から１００℃までです。通常の温度を測るのには充分です。１℃につき１０ｍＶの電圧が出力されます。気温が２５℃のときには出力電圧は０．２５Ｖとなります。通常の気温を測るとすると出力電圧が低すぎますので、この出力を増幅しましょう。
温度計の温度センサー出力電圧の増幅
通常の測定される気温の上限が４０℃程度とすると、センサーの出力電圧の上限は０．４Ｖと程度です。これを基準５ＶのＡ/Ｄコンバーターで変換するには電圧が低すぎます。今回はセンサーの出力電圧を約１０倍にします。そうすると４０℃のとき４．０Ｖとなりますから気分的にも丁度良い電圧になります。ＮＥＣ製のオペアンプuPC358Cを使って電圧を増幅しましょう。
（uPC358C）
オペアンプの基本的な増幅回路について説明します。
（非反転増幅回路）
上図が非反転増幅回路の基本系です。Ｒ１とＲ２で電圧増幅度を決定します。今回は１０倍に増幅します。Ｒ２を１００ｋにするとＲ１は約１１ｋになります。最終的にはＡ/Ｄ変換の関係も含めて調整しますので４．７ｋの固定抵抗と１０ｋの可変抵抗で構成しましょう。
温度計のＡ/Ｄ変換
Ａ/Ｄ変換にはアナログデバイス社製のAD7820を使用しました。採用の理由は、たまたま手持ちだっただけです。５Ｖの単一電源で動作可能な８ｂｉｔＡ/Ｄコンバータです。Ａ/Ｄ変換の結果は８ｂｉｔパラレルで出力されます。
（AD7820）
このＩＣはＭＯＤＥピンをＨレベルにしてＷＲ－ＲＤモードにして使用しています。ＲＤピンは常時Ｌレベルにしておきます。ＣＳピンは待機中はＨにしてデータバスはハイインピーダンスにしておきます。測定したいときだけＣＳピンをＬレベルにします。データバスは７セグＬＥＤの駆動ＩＣにも接続されていますので、使いときだけ出力にするためです。ＣＳピンをＬレベルにしたあと、ＷＲピンをＨレベルからＬにして再びＨレベルにすれはデータバスに変換値が出力されます。超簡単に使い易いコンバータです。
温度計のＡ/Ｄ変換の基準電圧
Ａ/Ｄ変換の基準電圧にはＳＩＩ製の５ＶレギュレータS-81350AGを使用しました。品番にはこだわりません、基準電圧用なので、電流はほとんど流れませんから、電位差の出来るだけ少ないタイプを使用して下さい。
（S-81350AG）
レギュレータの出力には必ず電解コンデンサーを付けて平滑しておきましょう。
温度計の基本仕様

ハードが準備出来たので、この製作の基本仕様を考えましょう。（ハードの準備でほとんど仕様は決まってしまいますが・・・）１）温度は３桁「*.」で表示する。表示精度は０．２℃とする。（計測精度ではないです。）２）表示の更新は０．５秒ごとに行う。３）実用範囲の上限は４５℃程度とする。（低温側は５℃が限界のようです。）以上が基本仕様です。ソフト作成途中で問題があれば随時仕様修正することにします。

ということで、今回はここまでとしましょう。次回はいよいよソフト作成に取り掛かりましょう。これからもどんどん楽しくなる「PIC16F84電子遊戯」をよろしくです。
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