オーディオクラフト工房（１１８）

更新日：２０１２年５月２７日

高感度ACARS専用受信機（８号機）を作ろう
前回製作した７号機のACARS専用受信機は原理的にはスーパーヘテロダイン受信機と同じものです。一旦周波数を変換するので必ずイメージ混信が発生します。
（専用受信機の基本概念）
（７号機の周波数変換）
このように７号機のうち131.25MHzを受信する部分のイメージ混信周波数は99.113MHzになります。この周波数がどうも悪さをしているようです。なぜか私の部屋にあるS社のデジタルTVをONにすると強力（？）な妨害電波を受信してしまいます。TVを消すと影響は全くないのでACARS受信時TVを見ていないと問題はないのですが、そのようなことは不可能です。部屋にいる時には100%の確率でTVをつけています。そこで今回はこの周波数を避けるように設計をしました。
（８号機の周波数変換）
局発の水晶を20MHzにしてみました。イメージ混信周波数も変わります。今回はこれで製作してみましょう。
高感度ACARS専用受信機（８号機）を作ろうの基本仕様
１）受信部は周波数コンバータ+DSP短波ラジオの簡単構成です。
２）周波数コンバータの局発は水晶発振子で固定周波数とします。
３）受信周波数はACARS専用で131.250MHz、131.450MHzの2周波数とします。
４）DSP短波ラジオには定番のシリコンラボ製Si4734を使用します。周波数コンバータはこちらも定番の東芝製TA7358を使います。
５）受信周波数はLED表示とします。
高感度ACARS専用受信機（８号機）を作ろうの全体構成図
全体の概略構成を示します。
（ACARS専用受信機の構成図）
今回もNOAAの製作本の局発回路をそのまま使っています。局発を固定してDSP短波ラジオで受信周波数を変えています。回路図は書籍で確認下さい。水晶発振子は20MHzを使いました。前回のものと周波数を変えたかったので丁度良かったと思います。この周波数にしたことでS社のテレビからの影響は全く無くなりました。
高感度ACARS専用受信機（８号機）を作ろうの周波数コンバータ
（ACARS専用受信機の周波数コンバータ回路）
周波数変換後は11MHz付近の周波数になります。今回は14MHzのコイルと47pFは大変良くマッチしました。最近はTA7358をすっかり見かけなくなりました。そろそろ買いだめをしないと。大変重宝するICですから。
高感度ACARS専用受信機（８号機）を作ろうのDSP短波ラジオ
（ACARS専用受信機のDSP短波ラジオ回路）
今回もさくっと作りました。とても簡単です。
高感度ACARS専用受信機（８号機）を作ろうのマイコン回路
（ACARS専用受信機マイコン回路）
今回は帯域選択を6kHzに固定していますので、帯域表示用LEDは省きました。
（マイコンポート割付）
ソースファイル一式はこちらからダウンロードして下さい。フォルダごと圧縮しています。全ファイルが入っています。ライタで書き込みする実行ファイルも含まれています。
高感度ACARS専用受信機（８号機）を作ろうの大完成の姿
（今回も超シンプルです）
（局発、DSPラジオ、周波数コンバータ部分です）
今回はNOAAの基板は使っていません。しかしながら再現性を得るために同じような配置をしています。ACARSの2周波数ならこのように局発を固定する方式でも十分実用になります。
（マイコン、電源回路部分です）
（今回も外装もシンプルです）
高感度ACARS専用受信機（８号機）を作ろうでACARSを受信しよう
（７号機と８号機でデュアルで強力受信中）
（８号機：131.250MHz、７号機：131.450MHz、検出1200、プロット511）
恒例の23時間受信を行いました。ほぼ最高記録ですね。プロット確率はほぼ限界でしょうか。131.250MHzも問題なく受信出来ました。本当に沢山の飛行機が飛び交っていることに毎回驚かされます。ACARS受信機としてはもうすることは無いような気がします。そろそろ卒業でしょうか。
前回の製作の最後で６号機の中間周波数以降をなんとか、というコメントを記しましたが結論はうまく行きませんでした。やはりDSP短波ラジオの帯域が狭いので、DSPラジオ部分に来る信号はゆらいではならないということが判ったのです。従ってこのように局発を安定させることは大変重要になります。
これからもオーディオクラフト工房はどんどん楽しくなっていきます。

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